「借主が家賃を滞納したまま出ていかない。どうすればいいのか」。家主が最も恐れる状況です。当社の答えは、トラブルを早く解決できるかどうかは、契約前にやっておく3つのことで決まる、というものです。借主の身元を確認すること、直接強制執行を受ける旨の条項(逕受強制執行)を含む書面の契約を交わすこと、引き渡し時に物件を写真に撮ることです。この3つがそろっていれば、ほとんどのトラブルは長い裁判を待たずに、最短の期間で適法に解決できます。
このガイドは家主の立場から書いていますが、台中で部屋を借りている方にとっても、同じルールを裏返して役立てられます。家主にできること・できないこと、そして敷金を守るものが何かがわかります。
契約前にやっておく3つのこと
- 借主の身元を確認する。 身分証、連絡先、緊急連絡先を確認します。必要に応じて在職証明を求めます。
- 強制執行条項付きの書面契約を交わす。 家賃、敷金、修繕責任、転貸の制限、生活上のルールを書面で定めます。金額が大きい場合や期間が長い場合は、契約を公証しましょう(賃貸借契約の公証を参照)。
- 引き渡し時に写真や動画を撮る。 物件の状態、家電、家具、鍵の本数を記録します。これが最終的な立ち会いと敷金の控除の根拠になります。
これらは民法の債務に関する規定と公証法(公證法)に基づきます。
当社の見解: 初めて部屋を貸した家主の方が、口約束を信じて身元確認を省いた結果、借主が家賃を滞納したまま出ていき、部屋はひどい状態で残されたという例を見てきました。きちんとした契約と管理の仕組みがなければ、トラブルが起きたとき、家主は最も弱い立場に置かれます。
よくある6つのトラブルと予防策
| トラブルの種類 | よくある状況 | 予防策 |
|---|---|---|
| 家賃滞納 | 借主が支払いを遅らせる、払わない、敷金で家賃をまかなうと主張する | 強制執行条項付きで契約を公証する。滞納時には長い訴訟を経ずに直接強制執行を申し立てられる |
| 修繕 | 壁のはがれ、家電の故障、費用負担をめぐる争い | 契約で修繕責任の範囲を定め、引き渡し時の写真を基準にする |
| 無断改装・転貸 | 借主が間仕切りを追加する、壁を抜く、利益目的で転貸する | 契約で改装と転貸を明確に禁止し、違反時の違約金を定める |
| 敷金 | 敷金の用途、控除できるもの、返還時期をめぐる食い違い | 引き渡しチェックリストに署名し、敷金の用途、返還条件、期限を契約に明記する |
| 騒音・ルール違反 | 深夜の騒音、無届けのペット、近隣への迷惑 | 生活上のルールと違約金を契約に加え、建物の管理規約を引用する |
| 書面の契約なし | 口約束だけで、後から何も証明できない | 必ず書面の契約を交わす。高額の家賃や長期契約なら公証する |
これらの予防策は、民法と租賃住宅市場発展及管理条例(租賃住宅市場發展及管理條例)に基づきます。
借主が家賃を払わないとき
当社の答えは、まず適法な書面で催告することです。滞納額が基準に達し、それでも借主が支払わない場合に初めて契約を解除できます。契約が強制執行条項付きで公証されていれば、家主は別途訴訟を起こさずに、裁判所に直接強制執行を申し立てられます。
- 書面で支払いを催告します。存証信函(存證信函、郵便局を通じて内容と配達日が記録される手紙)か、記録が残るLINEやメールを使い、配達の証拠を保管します。
- 滞納額が家賃の支払周期に応じた基準に達したとき、実務では家賃2か月分の合計が一般的な目安とされますが、法律に基づいて契約を解除できます。
- 契約が強制執行条項付きで公証されていれば、公証書を裁判所に持参して強制執行を申し立て、物件と未払い家賃を回収します。
- 公証されていない場合は、まず民事訴訟を起こして執行力のある判決を得なければ強制執行を始められず、はるかに時間がかかります。
当社の見解: 水道や電気を止める、鍵を替える、無理やり入って荷物を片付ける、といったことは絶対にしないでください。こうした自力救済は、住居侵入や強要など、刑事上のリスクを伴うことが多いのです。時間がかかっても、法的な手続きに従ってください。
敷金をめぐるトラブル
敷金の用途は契約に明記しておくべきです。通常は、未払い家賃、物件の損傷の修繕、清掃費用に充てられます。退去時に争いがなければ、速やかに返還すべきものです。争いの多くは、何のためにいくら差し引くのかがはっきりしていないことから生じます。
| 状況 | 対応の目安 |
|---|---|
| 借主が「通常の損耗は差し引くべきでない」と主張する | 引き渡し時の写真と比べ、通常の損耗と実際の損傷を区別する。差し引けるのは損傷だけ |
| 借主が敷金を最終月の家賃に充てたいと言う | 契約で禁止していなければ、家主は個別に話し合える。契約で明確に禁止していれば、借主は一方的に相殺できない |
| 退去後、家主が敷金の返還を遅らせる | 借主はまず書面で催告できる。期限までに応答がなければ、調停や裁判手続きで返還を求める |
当社の見解: 敷金トラブルの解決に最も効果的なのは、引き渡しチェックリストです。退去日に一緒に物件を確認し、項目ごとに記録すれば、後で言い争いになる可能性は大きく下がります。退去立ち会いのガイドで手順全体を紹介しています。
借主の方へ
ここまでの内容はすべて、双方向に当てはまります。修繕と敷金の条件が明確な書面の契約は、家主と同じように借主も守ります。入居日には自分でも物件の写真を撮って保管してください。家賃は銀行振込など記録の残る方法で支払い、家主とのLINEのやりとりも残しておきましょう。裁判所や調停委員が見るのは、そうした記録です。家主が水道や電気を止めたり鍵を替えたりした場合、それは違法な自力救済であり、受け入れる必要はありません。
よくある質問
借主が家賃を滞納して出ていきません。自分で鍵を替えてもよいですか?
いけません。水道や電気を止める、鍵を替える、無理やり立ち入るといった行為は、住居侵入や強要にあたるおそれがあり、いずれも刑事事件です。催告し、適法に契約を解除し、必要なら強制執行を申し立ててください。
敷金を最終月の家賃に充てられますか?
契約次第です。契約で禁止していなければ、双方の合意で相殺できます。契約で明確に禁止している場合、借主が相殺しても家賃の滞納とみなされることがあります。
借主が無断で転貸していました。すぐに契約を解除できますか?
できます。借主が家主の同意なく物件を第三者に転貸した場合、家主は法律に基づいて契約を解除し、物件の返還を求めることができます。
書面の契約がなく、口約束だけです。トラブルになったらどうなりますか?
証明がずっと難しくなります。できるだけ早く書面の契約を交わし、振込記録やLINEのやりとりを補強証拠として保管してください。今後の賃貸では、必ず書面の契約を交わしましょう。
どのくらいの滞納があれば契約を解除できますか?
実務では家賃2か月分の合計が重要な目安ですが、契約条件や個別の証拠によります。まず書面で催告し、配達の証拠を保管してください。
まとめ
賃貸トラブルの多くは事前に防げます。書面の契約、公証、引き渡し時の写真による証拠は、家主にとって3つの基本的な防衛線であり、同じ記録が借主も守ります。契約が更新されないまま満了日を過ぎている場合は、行動する前に定期賃貸借と期間の定めのない賃貸借をお読みください。お問い合わせページから状況をお知らせいただければ、取れる適法な手段を一緒に検討いたします。その他のガイドは賃貸ガイド一覧にあります。
